窓辺で揺れる布が、私たちに風を見せてくれる。ある時にふとそんなことに気がつきました。布は植物から繊維を取り出し、紡ぎ、染め、織り上げて作られます。自然が布になり世界を映し出します。布に触れることは世界とつながること。どこか遠い記憶やなつかしい感覚、穏やかさがよみがえるような気がします。
“いとう写真館”を主催する写真家の伊東さんは、フィルムカメラで、全国の家族写真を取り続けてきました。その土地らしさを家族写真の中に取り込んできた”いとう写真館”。スタジオモメンとのコラボレーションでは、西脇の布、播州織のテキスタイルを写真の背景にして撮影しました。地場の布で風を掴み、その瞬間の光をフィルムに焼き付ける。布が作り出す柔らかい光、ふわりと揺れる空気がそこに立つ人の魅力や個性をより引き出してくれました。
伊東さんが作り出す場の空気に大人も子供もみんな笑顔になってしまいます。春らしい穏やかな天気にも恵まれて、終始ハッピーな空気が漂う2日間。なんだかほくほくした気持ちになりました。
近所の農業用の倉庫を借りて、高さ3mのカーテンを、5つのレイヤーに分けて20枚設置。シャッターの広い開口から入る光と風がとても心地よいスタジオに変わりました。奥行きを付けて布を設置した事でどの角度から見ても倉庫の壁などの雑多な部分がほど良く見切れる、舞台装置のような構造となっています。あらためて布の可能性を感じました。
Date: 2022/03
Fabric by STUDIO MOMEN
Collaboration with いとう写真館
Fabric by STUDIO MOMEN
Collaboration with いとう写真館