わたしたちが働くよろこびや充実感は、いったいどこから生まれて来るのでしょうか。この問いへの僕の一つの考えは、その場所に根付いていることだと思います。その土地の水をのみ、その土地の物を食べ、働く。無意識だとしてもそこに根付いて生きているのだという根源的な所属感や安心感のようなものが、仕事に自信と喜びを、営みに説得力を生み出してくれる。地元に根づいた企業だとしたら、なおさらそんなことが大切なのではないでしょうか。
九州・大分県の縫製工場「株式会社ダイナン」のリブランディングの一環でユニフォームをリニューアルしたい。ある日そんな相談を受けて、プロジェクトが動き出しました。相談を受けたときから、僕の中に、一つのアイデアが浮かんでいました。それは地元の布を使うことでした。
九州といば福岡の久留米絣と呼ばれる歴史ある織物があります。以前にも何度か産地にも訪れたことがありました。初めの打ち合わせの前に、ぐるりと久留米を経由し、実際に久留米絣をリサーチしてから大分へ入りました。
ダイナンは100人を超える従業員の比較的大きな縫製工場で、地元の若手からベテランまで多くの方を採用しつつ、外国人の研修生も一緒に働いている会社でした。社内の雰囲気がとても明るくとても風通しの良い会社でした。
同じ九州に、こんなに良い布があるのだから、これをユニフォームにしてみませんか。と提案。まさか生地からオリジナルでつくることになるなんて誰も想像していませんでしたが(やはり費用も大きくなってしまいます)、スタッフさんや社長の但馬さん含め直感的に面白がってくれて、話が進んで行きました。
このプロジェクトは「ユニフォームのデザイン」が依頼内容でしたが、ものづくりのプロセスを実践を通して経験することをもう一つの大きなテーマとして大切にしました。「縫製」という繊維製品の最終工程を担っている会社ですが、生地を作ったり、デザインを生み出したり、他の工程を学ぶことが、やはり縫製にとってもよい影響をもたらすと考えたからです。開発チームと一緒に久留米絣の工場を見学したり、デザインをどのように発想して形にしていくのか。そんなことを逐一共有しながらプロジェクトを進めて行くことになりました。
vol.2へ続く → 大分の縫製工場ユニフォーム vol.2|テキスタイルデザイン「手」が繋がり羽ばたく
ダイナンさんのnote(ブログ)でもプロジェクトについて素敵にご紹介頂いています。是非こちらも合わせてごらんください。
ダイナンnote → https://note.com/dainan_note
Fabric Direction/Textile Design/Uniform Design
Client : 株式会社ダイナン([https://www.dainan-oita.co.jp/](https://www.dainan-oita.co.jp/))